2025年7月10日木曜日

アイルランド(ダブリン)・・・フランシスコとの再会

父とアイルランド西海岸の旅を終えて、そろそろ次の土地へ行くための準備を始めた。ぬるいギネスを毎日のように飲んでいたけれど、これが飲めなくなるのは寂しいなあ。ダブリンは全てが心地よかった。パブでは誰からともなく演奏を始めると、我こそはと次々と楽器を出してセッションが始まる。ギネス飲んでいたおじいちゃんとおばあちゃんが体を動かし始めて、ついには立ち上がって踊り出す。皆が手拍子したり、おしゃべりを続けたり。


昼間のパブはいわゆるカフェ的な存在で、ランチあとのビジネスマンがやってきてギネスを飲みながら議論を交わしてそのままオフィスへ戻っていく。そのため私もすっかり昼間からぬるいギネスを飲むのが習慣になってしまい、これがなくなるなんてどうしたらいいのかと真剣に悩んだ。

ダブリン城やトリニティカレッジなど馴染みとなった街を歩き回った。公園では水鳥が魚を食べてる姿や、ベンチで新聞を読む青年、腕を組んで歩く老夫婦を眺めながら「ここを発つ日を決めておいてよかった」と思った。そうでなければ私は残りの日々をここで過ごしたいと思っていたかもしれない。

父の住むアパートメント。中庭があった。

室内でハンティング帽を被ってすっかりアイルランド紳士気取りの父。

父のアパートにいて何が良かったって、食事や宿の心配がなかったことはもちろん、日本語が使えるPCがあるということ!家族や友人と思う存分やり取りできたのは本当に大きかった。そして日本語のメールの中にいくつか旅先で知り合った友人から英語のメールも来ていて旅の情報を送ってくれていた。なんと有難い!さらにキラーニーで知り合った真面目そうなあのメガネ青年フランシスコからもメールが。
ダブリンの大学に留学中のスペイン人フランシスコが「ノゾミがダブリンを去る前にもう一度会いたい」とのこと。
中央郵便局前で待ち合わせることにして、近所のレストランでエビフライとサラダとスープとフライドポテトを食べ、フランシスコおすすめのホットウイスキーを飲んでみる。お…おいしい!!さらにレモンとクローブを加えたものもまたおいしい!!
キラーニーで山道遭難しかけた話をするとビックリされて、やはりあの距離感を分かってなかった私がアホだったのだろうなと思ったが、彼はとても素晴らしい経験だったと褒めてくれて、次は彼の住むバルセロナで再会しようと約束をした。日本人的には一見ひ弱そうに見える彼だったが、全てにおいて紳士的な態度(ジェンダーギャップに厳しくなった2025年現在としてはいいのか悪いのか分かりませんが)で、私を立ててくれる。これこそが「れでぃふぁーすと」ってやつか!と感心しながら父のアパート前に到着。
「いいね?バルセロナに来る日が決まったら必ず連絡するんだよ」
と言って、突然唇を奪われた。

...!!!
父のアパート前ですが!
真面目で気弱に見えましたが!
いや、これはハイタッチくらいの挨拶なのですか!?

私の中ではロマンチックのかけらもなく、脳内処理が間に合わないままにフランシスコは帰っていった。

呆然と彼の後ろ姿を見送るしかなかった私。いやぁ、油断してた。。

2025年7月4日金曜日

アイルランド(アラン諸島)・・・最果ての地へ

昨日の荒天が嘘のように快晴。よかった!アラン諸島に渡るためにはフェリーに乗らなくちゃだけど、昨日みたいな天気だったらどうしようかと思ってた。アラン諸島はイニシュモア島、イニシュマーン島、イニシィア島の三島があり、私たちは一番大きなイニシュモア島に行くことに。

ロッサヴェール港よりフェリーで約40分。おおっと、なかなかな老朽っぷりだけど大丈夫か??泳ぐアザラシと並んでフェリーが動き出した。


可愛らしい建物が見えてきた!し…しかし、あまりの寒さに指がちぎれるかと思った。父も同じだったようで、島に着くなり「記念に」とお揃いの革の手袋を買ってくれた。今となっては、この旅のことをちゃんと振り返ってこなかったことをとても後悔している。父が2018年から2019年にかけて約1年闘病生活を送っている間に、たくさん会話できたのに、私は1度もこの旅のことを父と話さなかった。当時の生活そして子供たちのことで手一杯で、旅のことはすっかり忘れていたのだ。もう一度、二人であの時間のことを振り返ってみたかったな。

ケルト文化が色濃く残っており、こちらの十字架はケルト十字と言われる真ん中に円があるもの。あちこちで見かけた。
島の中を移動するためレンタサイクルを借りていざ出発。父のぎこちない自転車の漕ぎ方が微笑ましい。観光地とは思えない静かな島で、人影は見当たらず、迷惑そうにこちらを見る牛に遠慮しながら進んでいく。



なんだか巨大迷路にでも迷い込んでしまったかのよう。

突如現れたドンエンガスの断崖絶壁。柵も何もなく、風が吹けば崖下に吸い込まれてしまいそうになる。高所恐怖症の父と高所大好きな私。


そしてさらに断崖には約3000年前に建てられたという古代要塞が。いったい誰が何のために作ったのか謎が多いらしい。しかしこの場所には謎という言葉がぴったりだ。

それにしても昨日のモハーの断崖以上の迫力に圧倒された。容赦なく冷たい風がごうごうと吹き付けてきて、荒涼とした土地もこの力強い自然によって形成されたものだと納得する。この凄まじい自然のパワーを、隣にいる父と共感しあえることの喜びよ。牛がいるだけで笑いあえる。もうすぐアイルランドを発ち、また一人旅に出ることが寂しくてたまらなくなってきていた。



アイルランド(ダブリン)・・・フランシスコとの再会

父とアイルランド西海岸の旅を終えて、そろそろ次の土地へ行くための準備を始めた。ぬるいギネスを毎日のように飲んでいたけれど、これが飲めなくなるのは寂しいなあ。ダブリンは全てが心地よかった。パブでは誰からともなく演奏を始めると、我こそはと次々と楽器を出してセッションが始まる。ギネス飲...