昨日の荒天が嘘のように快晴。よかった!アラン諸島に渡るためにはフェリーに乗らなくちゃだけど、昨日みたいな天気だったらどうしようかと思ってた。アラン諸島はイニシュモア島、イニシュマーン島、イニシィア島の三島があり、私たちは一番大きなイニシュモア島に行くことに。
ロッサヴェール港よりフェリーで約40分。おおっと、なかなかな老朽っぷりだけど大丈夫か??泳ぐアザラシと並んでフェリーが動き出した。
可愛らしい建物が見えてきた!し…しかし、あまりの寒さに指がちぎれるかと思った。父も同じだったようで、島に着くなり「記念に」とお揃いの革の手袋を買ってくれた。今となっては、この旅のことをちゃんと振り返ってこなかったことをとても後悔している。父が2018年から2019年にかけて約1年闘病生活を送っている間に、たくさん会話できたのに、私は1度もこの旅のことを父と話さなかった。当時の生活そして子供たちのことで手一杯で、旅のことはすっかり忘れていたのだ。もう一度、二人であの時間のことを振り返ってみたかったな。
ケルト文化が色濃く残っており、こちらの十字架はケルト十字と言われる真ん中に円があるもの。あちこちで見かけた。
島の中を移動するためレンタサイクルを借りていざ出発。父のぎこちない自転車の漕ぎ方が微笑ましい。観光地とは思えない静かな島で、人影は見当たらず、迷惑そうにこちらを見る牛に遠慮しながら進んでいく。
なんだか巨大迷路にでも迷い込んでしまったかのよう。
突如現れたドンエンガスの断崖絶壁。柵も何もなく、風が吹けば崖下に吸い込まれてしまいそうになる。高所恐怖症の父と高所大好きな私。
そしてさらに断崖には約3000年前に建てられたという古代要塞が。いったい誰が何のために作ったのか謎が多いらしい。しかしこの場所には謎という言葉がぴったりだ。
それにしても昨日のモハーの断崖以上の迫力に圧倒された。容赦なく冷たい風がごうごうと吹き付けてきて、荒涼とした土地もこの力強い自然によって形成されたものだと納得する。この凄まじい自然のパワーを、隣にいる父と共感しあえることの喜びよ。牛がいるだけで笑いあえる。もうすぐアイルランドを発ち、また一人旅に出ることが寂しくてたまらなくなってきていた。