2001/01/27
長距離バスと船移動してる間にアイルランド人のおじいさんと仲良くなった。歯が抜けて時々なんて言ってるのか聞き取れないこともあったけど、とってもチャーミングで楽しくて。ダブリンに到着すると、彼はこれからさらに4時間かけて自分の住む街へ移動するんだとか!すごい!体力オバケ!別れがたい気持ちはおじいさんも一緒だったようで「朝ごはんだけでも一緒に食べないか」と誘ってくれた。まだアイリッシュポンドに両替してないからと言って断ると、おじいさんがご馳走してくれるとの事。生まれて初めて食べるアイリッシュブレックファスト。たっぷりの紅茶にポークビーンズとベーコンと目玉焼き。それに薄切りでカリカリに焼いたトースト。美味しいぃぃぃぃ!おじいさんは孫の世話をするみたいに「紅茶に砂糖は?」「パンもっと食べなさい」「ミルクいるか?バター塗ったか?」と気にかけてくれる。有難いなあ。最後に1枚記念写真を撮らせてもらった。ホント可愛い。
こうして名前も知らない相手とほんの僅かな時間を大切に共に過ごせることが旅の醍醐味だと思った。数時間の出会いが何十年も記憶に残るって本当に素晴らしい経験だと思う。
さて、アテにしていた父ですが、名刺に書いてあった住所を頼って行くも留守。仕方ないので両替所に行き、T/C(旅行小切手)を現金に変えてもらいコインロッカー探してブラブラ。荷物の重さに心折れそうになり、ダメ元で父に電話を掛けてみたら、出た!!!仕事から帰ったばかりらしくタイミングが合ったみたい。そして、父の声を聞いて旅前半の緊張が一気にほぐれて「ああ、やっとここまで来れた」と膝下から力が抜けていった。久しぶりの再会。ああ、お父さーーーん!本当にアイルランドで会えるなんて。二人でパブに行きギネスで乾杯。この2週間が辛すぎたからか夢のような心地だった。
父は日本では大手の建設関係のコンサル会社に勤務しており、博士号を持つ技術者。しかし50代半ばで脱サラして単身アイルランドに渡り、ニッチな(狭い)分野でISO(国際標準化機構)に関わっていたらしい。退職金もなく貯金を切り崩して単身アイルランドに行かせる母もすごいな。2019年に膵臓癌で亡くなるまで現役でお仕事させてもらえたのもこの時の経験があってこそだと誇りに思う。まあ、ここまで書くと立派な人みたいだけど、常識オンチもはなはだしく、焼酎と日本酒、チューリップとバラの違いもよく分からない人でした。50過ぎて初めての一人暮らしが異国の地ってのも普通なら無理そうだけど、とりあえず生きててよかった。笑
一緒に買い物に行き、当面の食料などを買い込み、しばらくの間の二人暮しがスタート。生涯忘れられない2人の生活となった。
父が勤めてたトリニティカレッジの研究室にて↓
父の顔を勝手に晒してしまった今日は、父の月命日でした。お父さんゆるしてね。