㊱スイス(Scuol)・・・パパと裸の付き合い?
2001/03/29
この日はルシーナが仕事で一日不在だったので、ルシーナのパパがシュクオル(Scuol)という有名な温泉地に連れて行ってあげると言って、二人で列車に乗っていざ温泉地へ!車内ではシュクオルの立派なパンフレットと生ハムのサービス。温泉地の期待が高まる。
シュクオルはローマ時代からの温泉地として有名で、20数種類もの源泉があるという。街の中にはいくつも冷泉を飲む場所が設けてあり、温泉施設は湯治客や観光客で賑わっていた。
パパが大きな温泉施設を指さして「ここに入ろう」と言う。最初はパパと二人で温泉だなんてとかなり躊躇っていたが、ヨーロッパの温泉施設は日本と違って水着着用が普通だそうで、入口から感じ取れる雰囲気もまるでプールかスーパー銭湯のよう。それならばと入ることに決めた。パパは私のためにちゃっかりママの水着まで用意してくれていた。内心、歳の近いルシーナのでいいのにと思いながら「thank you」と受け取る。入湯料の24フラン(約1500円)はパパが払ってくれた!有難い。涙
中に入ると想像以上に清潔感があって広々。ロッカーは男女分かれていなくてざっくり個室になっていて、その中で着替えてから出てきて温泉に向かう。屋内には大きくて丸い形の湯舟を中心にうたせ湯付きの風呂、天然塩水温泉に水風呂、蒸し風呂、そして屋外には露天風呂というよりもプールといった方がいいような大きな温泉があった。大きなガラス窓からはスイスの雪をかぶった美しい山々が見え、何か絵画でも見ているような気持ちになった。普段、日本では温泉にはよく行っていたので、湯に浸かっているとまるで日本にいるような気分になったが、色白で金髪の外国人に囲まれていることに気付くと急に違和感を覚えて居心地の悪さを覚えた。
蒸し風呂の部屋でしっかり蒸されてホクホクになったので、浴場内を歩いて回って涼んでいたら、パパが蒸し風呂とよく似たドアを開けて入っていくのが見えた。あそこは一体何だろうとパパが開けたドアの前に来てみると「サウナ」とある。サウナでさらに汗をかくのも悪くないとドアを開けたら、私の想像したサウナ部屋と全く違っていた。違っていたというより、ドアの中がサウナではなく別の空間が広がっていた。右手には露天風呂に通じる大きなガラス扉があり、外の日差しが眩しく降り注いでいた。正面には通路に沿っていくつものドアが並んでおり、いろんな人々が出たり入ったりを繰り返している。きっとあのドアの中がそれぞれサウナになっているのだろう。しかし、なんだろう。このドアの向こうは全く別の空間に思えるこの違和感は。見覚えあるようでないようなこの違和感。
あ
全裸だ。
日本の温泉同様、全裸なのだ。
よく見るとドア近くのフックや棚には、このドアを開けるまで皆さんが着用していた水着が置いてあった。この先は水着を脱いで入るらしい。しかし待て待て。男女混浴だぞ??サウナというドアの向こうでは羞恥心というものがなくなるのか、男女の差がなくなるのかわからないが、誰一人恥ずかしがることなく男も女も堂々と全裸で歩いていた。あまりの衝撃にたじろいだが、こんな経験もなかなかできまいと脱ぐ気満々で水着の肩紐に手を掛けた瞬間、遠くに全裸のパパの後ろ姿が見えた。おっと!!!!
さすがにパパの前で全裸になる勇気もなく、気付かれる前にそそくさと元の温泉ルームへと戻った。しかし本当に驚いた。これがヨーロッパのサウナスタイルなのか?
さて、入浴後はさすがにお腹も空いて、近くのレストランで山盛りのローストビーフとピクルスのサンドイッチをご馳走になった。ルシーナに「昨日と違ってランチに肉を食べることができた」と伝えなきゃ。
食後はパパと街歩きをし、この街の建物は壁面を削って模様をつけるのが特徴だとか、常に水が出ている水飲み場がいくつもあって、その中の一つである天然の炭酸水を飲ませてもらったりと貴重な体験をさせてもらった。
2025年の今はもう亡くなってしまったらしいけれど、ルシーナのパパと一日デートできたのは本当にいい思い出となった。