㉝イタリア(ミラノ&ヴェネツィア)久しぶりの一人旅堪能

 2001/03/23


フランシスコと別れた後、スペインからフランスの国境駅Cerbere(セルベール)に22時半に到着。この国境駅ではホームから次の列車に乗るための待合室に行く間、全員パスポートチェックがあった。小さな国境駅には大勢の旅行客であふれかえっていた。私は24時出発のニース行きの夜行列車に乗るためしばらく待機していたが、23時過ぎ駅のアナウンスでニース行きの列車が到着したことを知る。うう…これまでのスペイン語にも大変苦労したが、フランス語も全く分からないので(大学で専攻したはずなのに)とにかく聞き耳を立てて集中しておかないといけない。予約しておいた座席はゆとりのある赤いソファ。しかしリクライニングにもならないため、直角で朝まで過ごさなくてはならないのはちょっとしんどい。

そんなこんなでほとんど眠れない状態でニースに到着。地中海だ!パステルカラーの建物がなんとも美しい。ニースでは次の列車の乗り換えのため1時間半だけ街歩きができた。


10時1分発のミラノ行き列車は、パノラマといって天井の方までガラス張りの景色がよく見える車両だった。こんな車両もユーレイルパスで乗れちゃうなんて最高。普通にチケット買ったら高いんだろうなぁ。


パノラマ車両があるだけに、やはり眺めは最高だった!どこまでも続く海岸線の山の斜面にはクリーム色とオレンジ色の家々が並び、どこか作り物のセットのような、私なんかからすると出来過ぎなくらいの美しさだった。イタリア、ジェノバからは列車は内陸を走り出し、牧草地や田舎の風景を楽しんだ。スペインでしばらくホームステイ生活を送っていたので車窓の風景がやけに久しぶりに感じられる。そして、その風景の中に春を感じたことに驚いた。木々に若葉が芽吹き、穏やかな日差し。大好きな季節をヨーロッパで迎えられたことがとても幸せに思えた。

15時、ようやくミラノ中央駅に到着。早速ツーリストインフォメーションに行って安宿情報をゲット。インフォメーションのお姉さんがオススメしてくれたのがユースホステルだった。トレドとバルセロナに続いてまたもユースに泊まるのは嫌だったので、個人が経営しているような宿がいいと頼むが「ここが一番安い!満室の心配もない!」と断言され、まあ確かに春休みシーズンで満室で探し回るのはしんどいなと思い、素直にユースに向かうことにした。通りすがりの人の協力もあって無事到着。3000リラ(¥1500程度)前払いしてチェックイン完了。6人のドミトリーに鍵付きロッカー。


身軽になったのでやっとミラノ観光。地下鉄に乗って地上に上がるとそこはミラノドゥオーモ(大聖堂)が目の前にあって、あまりの迫力にびっくり!!しかしサイダやルトフィの質素で素朴で従順なイスラム教徒の影響か、この華やかで圧倒的なスケールの大きい大聖堂に対して、うまく言えないけれど以前のような感動はなく、ただただお金かかってるなーーーという野暮な感想しか浮かばなかった。 大聖堂の隣のおしゃれで洗練されたアーケード、城跡、庭園に公園、いろいろ歩いたけれど今の自分の貧乏旅行にはどこか場違いな感じがしてちょっと居心地の悪さを感じた。




夕食はミラノの素敵なレストランでパスタ・・・なんてことは当然あり得ないことで、ユースの近くにあるスーパーでワイン(250ml×3パック入り約¥120)、グリーンオリーブのフォカッチャ、オリーブの実のレモン漬け、丸い棒のようなチーズ(後で知ったがピザに乗せるモッツアレラチーズの一種だったらしい)などなど購入して、食堂で旅人同士ワイワイ言って食べた。こういう時間が本当に楽しい!2年間も帰国せず旅し続ける日本人なんてのもいた。

翌朝。ユースには大抵朝食が付いているのだけど、どこも囚人食だなんて言われたりしていて、ここミラノでもプラスチックのボウルにカフェラテと丸いフランスパンのみの提供。そこに昨日の残りのオリーブやチーズなどを乗せるとまあまあいい朝食になった。

私はミラノの街歩きはやめることにして、ヴェネツィアまで日帰りで行ってみることにした。9時にミラノ中央駅に着くとヴェネツィア行列車を探し、満員に近かったので走って座れる席を探して何とか席確保。どこもかしこも春休みなので子供たち多くって大変。12時にヴェネツィアサンタルチア駅に到着すると、もう目の前がすぐに運河!バスもタクシーも船!車やバイクがないらしく、もうここは運河が「道」だった。すごいすごい!!



とりあえずバス船に乗ってみる。しかし地図を見る限り違う方向に行っているような。水上とはいえ右側通行とか決まっていたのか?ということは対岸に私が乗るべきバス船がいたのか??運転手に尋ねると、乗り換えの方法を教えてもらい、無事に乗り換え成功。なんだかとっても不思議な街だ。

例えが悪いかもしれないけれど、まるで洪水があったかのような街。水の中に家を建てたというより、建物があった場所に水が流れてきたって感じで絵本「つみきのいえ」を思い出す。家の窓を開けたらすぐそこに水が流れてて、お向かいの家に行くには水路を渡るか陸に出て遠回りしなくちゃいけない。水路が道路、道路が水路。なかなか理解が追いつかない。サイレン鳴らしてぶっ飛ばすパトカー船や、流しで走らせてるタクシー船、おしゃれなカップルが肩を組んで走らせるスポーツカーならぬスポーツ船?などなど。

(↓ここはいかにも水路=道路って感じ)


サンマルコ広場で船を降り、鳩を踏まないように広場周辺を観光して回った。派手な建物と使い物にならない地図、お腹もすいて疲れたので、観光地から離れゴンドラの運転手が入っていったトラットリアに私も入ってみた。ピザ(トマトソースに生トマト、バジル、ハム、モッツアレラ)と赤ワインを注文。これはもーーー最高過ぎでしょ!!!!本場のピザのおいしさに感動。皿に乗り切れないサイズで600円程度。やっぱり地元の人が利用する店は安くて美味しいんだな。

半日という短い時間でヴェネツィアを理解することはとても無理だった。しかし唯一無二の水の都はとにかく美しく賑やかだった。行ってよかった!


次の投稿(スイスは本当に美しかった)

前の投稿(フランシスコとの再会)