⑦デンマーク2日目・・・テンションダダ下がりな一日
今日は人魚姫の像を見に行くことだけは決めていた。気持ちを切り替えようと街を歩いてみたが、やはりあの楽しかった時間が恋しく、寂しさに押しつぶされそうになる。完全にリューベックロス。一人公園のベンチに座って凍った池に向かって石を投げる。氷が割れるまで投げ続けようとしたが、馬鹿みたいに思えてきてやめた。
人魚姫の像は、会った旅人たちからは「期待はずれ」と不評だったけれど私は全くそう思わなかった。寂しげな様子がまた自分の心境にもリンクしてしまいしばらく見入ってしまった。さんざん見世物にされた挙句期待はずれと言われるくらいなら、いっそのこと遠く静かな海に連れて行ってあげたい気持ちにすらなった。
雪混じりの雨が降り始め、いよいよ気持ちが落ちていく。わずかな小銭しかない私は、このお金を日本への電話代に使うかパソコンに使うかをさんざん悩んだ。リューベックでジムが日本語読めるパソコンに案内してくれたんだから、一国の首都であるコペンハーゲンのパソコンなら間違いなく使えるはず!という勝手な思い込みでパソコンの方を選択するも、日本語全く対応しておらず撃沈。あー、公衆電話なら日本と5分以上は話せたんじゃなかろうか…。(海外からメールも電話も自分の携帯電話で自由にできる今ってホントすごい)
昨日買ったパンを昼ごはんとしてかじり、部屋に戻ってゴロゴロする。モヤモヤして睡魔もどっかに行ってしまい、言葉の分からないテレビをぼんやりと眺めていた。
星野のおじさんは今夜パリ行きの深夜バスに乗るらしいけど、姿が見えないのでもしかしたらもう出掛けたのかもしれないな。もしくは暇さえあれば「地球の歩き方」(旅人のバイブルともいわれた旅行本)に投書(旅人からのリアルな情報をハガキに書いて送って、採用されたら本に掲載される)してるらしいので、どっかのベンチでせっせとハガキ書いてるのかもしれない。私は夜ご飯買うつもりが、デンマークのビール、カールスバーグとポーターを手に取りビール税込みで170円ほど支払って再びホテルに戻ってきた。なるべく出費を減らさなくては。お腹空く前に寝よう。
そう思ったところに星野のおじさんが現れた。「バスの予約チケット取れてなくてさあ!明日移動することにした」とのこと。旅慣れしてるみたいなのにこんな凡ミスするんだ。やれやれ。なんか話したそうなので、しばらく付き合ってあげよう。星野のおじさんからビールを1本もらってしばらくの間、これまでの旅についてこれからの旅について語り合った。なんだかんだ気が紛れた。そういや出発した頃には、次に日本語話すのいつだろうなんて考えてたけど、割と早かったな。
ダメだ。
コペンハーゲンにいてはダメだ。何も変わりそうにない。アンデルセンの故郷オーデンセに行こうか。いや、アンデルセンに特別興味がある訳ではないしな。全く違う風景が見たい。今私は、デンマークの東端のコペンハーゲンにいるから、まっすぐ西に向かって行くのはどうだろう。デンマークの西海岸から北海を眺めるのもいいな。ということで、地図を見てまっすぐ西側にあるなんて読むのかも分からないEarbjergという街に行くことを決めた。
やっと何かから抜け出せそうな気がしてきた。