2001/02/26
美しいサンセバスチャンに数日滞在し、今度はスペイン内陸部のセゴビアという街に行ってみることに。そこは古代ローマ時代からの水道橋や旧市街が世界遺産に登録されているだけでなく、ディズニーの白雪姫のお城のモデルとなったアルカサルなど歴史と文化を感じられる街だという。春の始まりのような優しく暖かなサンセバスチャンでしっかり身も心も癒され、夜行列車に乗ってまずはマドリッドへ。22:37発の夜行列車に乗り込むとコンパートメントになってて一部屋6人分のベッドがあった。私は3段ベッドの真ん中。元々どこでも寝れるけれど、やっぱりベッド最高。疲れをとるためにはクシェットではなく寝台にすべきね。
7:50マドリッド到着。マドリッドの治安が悪いという噂はあちこちで聞いていたのでさっさと乗り換えたい私。インフォメーションに行ってしつこくセゴビア?セゴビア?聞いていると、15分後に出発するとか。順調すぎて不安を抱えながらも迷っている暇なく乗り込む。乗客にもしつこくセゴビア?セゴビア?尋ねるとどうやら間違いないらしい。それにしても「荒涼とした」とはまさにこういう風景のことを言うのだろうな。乾いて痩せた大地がどこまでも続いている
セゴビア到着。しかし駅前にあまりにも何もない。世界遺産を案内する標識も何もない。もしや、スペインにはセゴビアって町がいくつも存在するんだろうか?マドリッドでの乗り換えがスムーズ過ぎて、こんなにうまくいくはずないと思ったのよね。当然英語表記も無し。駅に地図も無し。駅員に尋ねてみるも言葉通じず。
とにかくやたら私に対して「ボニータ(女の子)」を連発してた。ノックされてドアを開けたらどうやら「女の子なんだからすぐ開けないの!」と言ってるらしい。ボニータとして街歩きをする心構えみたいのを何回も言われた(通じてないけど)。
食事はいつもこんな感じ。やっぱりパンはフランスの方が美味しかったなあ。出発前に友人がくれたアーミーナイフは何かと大活躍。ワインはもちろんスペイン産。一日でボトル空けちゃうけど、日本に比べて安いのでお構いなし。
そして白雪姫のモデルとなったアルカサルへ。昼間からワイン飲んで気分よく、すれ違う人同士「Hola!」と声掛けあうのもすぐに慣れて、このゆるっとした雰囲気がとても心地よく感じられた。
白雪姫は私の中でもディズニー作品の中でもっとも印象に残っている作品だったのだけど、もう「まさに!!!」というくらい想像通り、いや想像以上だった。荒野の中の丘に静かに佇む感じは威厳のようなものを感じる。下を流れる川に沿って歩いて、しばらくこの美しい白をいろんな角度から楽しんだ。
彼は4日前日本を発って、二か月間ヨーロッパを放浪するらしい。ワーキングホリデーでカナダに一年間行っていたこともあり語学は堪能(スペインでは英語は無意味だが)。ワーホリ帰国後関空の面接に受かったらしいけど、海外を鉄道で旅したい気持ちが強く、内定を蹴って自由な職場であるユニクロのバイトを選んだとか。2001年当時のユニクロはフリースが出始めた頃で、今回の旅でもかなりお世話になった。しかし今のように国際的な企業になるとは思ってなくて、カメイ君が「ユニクロって海外に視野を広げててすごい企業なんだよ」という言葉も今なら納得できる。バイトとはいえ店長補佐まで任されて、今回の旅から戻ったら同じポジションに就けることが約束されているとか。「海外支店の店長をやってみたい」と言っていた彼の夢はどうなったんだろうなあ。あの時聞いた年齢からすると今は53~54歳ってとこか。もしかしたら役員にでもなっているのかもね。
この日カメイくんと話したことで、私の中で「やりたいことをやる」が自信を持っていいことだと教えてもらえた気がする。
ほんの数時間だったけれど、テレフォンカードのおかげで知り合えた彼とのセゴビア散歩は一生忘れられない思い出となった。